2012年12月16日日曜日

「勝手に仏英対訳読書法」



数年ぶりにフランス語の本が読みたくなって、ぶらりと出かけた、新宿の紀伊國屋6階の洋書売り場で見つけた Le Voyage D'Hector Ou Le Secret Du Bonheur というペーパーバックに、今、はまりに、はまっています。

 
かつてのように、毎日、フランス語を読む、といった習慣はすっかりなくなってしまいましたが、やはり、定期的に、フランス語熱は、ぶりかえします。

 
そんな中でたまたま出会った、このペーパーバックは、びっくりするほど、読みやすくて、私のフランス語熱は、いっきに再燃してしまいました。

 
しかし、いくら読みやすい、といっても、そこはフランス語、英語のようにはスムーズにはいきません。

 
そこで、私は、フランス語で1章を読んだら、英語版で確認する、という、いつもの「勝手に仏英対訳読書法」をとることにしました。


この「勝手に仏英対訳読書法」は、かつて読んだ、生涯に10数か国語を操り、フランス語はわずか6か月で自由に読み書きができるようになった、シュリーマンの多言語取得法をヒントに、自分なりに続けてきたものです。


英訳の方は、キンドル版が出ていたので、キンドルで読むことにし、寝る前に読んだフランス語の原書を、翌朝、電車の中で、キンドルの英語版で確認する、という作業を続けています。


フランス語だけだと、ところどころ、ぼんやりしているところが残りますが、英語版で確認すると、なるほど、そういう意味だったか、とはっきりしたり、あるいは、ちゃんと読めていることが確認できたりと、なかなか便利です。


世の中には、たくさんの対訳本が出ていますが、その多くは、フランス語と日本語の対訳ですし、どうも勉強っぽくなってしまううえに、そもそも、その本じたいにあまり興味がもてなかったりすることが多いです。


でも、キンドルを使って、自分で勝手に仏英対訳にしてしまう「勝手に仏英対訳読書法」なら、自分の読みたいものが好きに対訳にできるので、なかなか便利です。


もちろん、ちゃんとした本家の対訳本のように、見開きでフランス語と英語が対訳になっているわけではないので、精読には向きませんが、楽しく読めればそれでいい、という適当な多読には、もってこいの方法です。


それにしても、英語で読むと、 Le Voyage D'Hector Ou Le Secret Du Bonheur が、いかにやさしいフランス語で書かれているかが、よく分かります。


たぶん、感覚的には、センター試験レベルの英語だと思われます。

 
何日かに分けて、寝る前にちびりちびり読んだフランス語の1章分が、英語で読むと、わずかな通勤時間のの中であっさり読めてしまいます。


いつかフランス語も、読めるかどうかを気にせず、読みたいと思う本が自由に読めるようになれたらな、と痛感させれます。



2012年12月15日土曜日

キンドル(kindle)とフランス語


 日本版キンドル(kindle)を買いました。



 さっそく、キンドルで、フランス語がどれくらい使えるかを、調べてみることにしました。







(1) フランス語の本は何冊くらいあるか?



 
まず、kindleストアにいって、フランス語の本が何冊くらいあるか、調べてみました。


Kindleストア › Kindle本 › Kindle洋書 › フランス語(French)

 
2012年12月時点で、検索結果は、 20,727 件でした。

 
英語の洋書は、1,356,185 件でしたから、フランス語は、6分の1か、7分の1程度です。




(2) どんなフランス語の本があるか?




検索結果の上位に出てくるのは、多くは、ベルヌや、フローベルや、スタンダールなどの古典が多い印象です。

 
古典は、ほとんど 0 円というのが、魅力的ではありますが、本格的過ぎて、残念ながら、私のフランス語力では、ちょっと歯が立たない感じです。


ただ、上位ランキングの中には、日本人にもおなじみの、私も持っている、Le Petit Princeや、L'étrangerもありました。


L'étranger にいたっては、キンドル版はなんと、100円!!と格安でした。





(3) 初心者向けのやさしいフランス語の本があるのか?




さて、いちばんの問題は、この私にも読めるような、初心者向けのやさしいフランス語の本があるのか、という点です。

 
まずは、児童書に行ってみました。


 Kindleストア › Kindle本 › Kindle洋書 › フランス語(French) › teens


すると、検索結果は、1,282 件。


これを多いと見るか、少ないと見るかは、微妙なラインですが、国内の大型書店の洋書売り場に、これだけの数の児童書があるかどうかを考えると、十分な感じもします。


ラインナップを見ても、なかなか楽しめそうです。


なにより、100円などと、安い本が多いのが、魅力的です。




(4)フランス語の辞書は、何があるのか?




さて、やさしめのフランス語の本があるとして、次に問題となるのは、フランス語の辞書があるのか、という点です。


キンドルには、画面上の単語を指で触れば、意味がポップアップされるという、たいへん便利な機能があります。


この機能は、本当に便利で、いちど味わったら、やめられません。


ですから、もし、キンドルにも、ちゃんとしたフランス語の辞書が、つまり、仏英や、仏仏ではなく、仏和辞典があるならば、フランス語を多読する環境は、格段に向上します。


調べてみると、


残念ながら、現段階では、仏和辞典はないようです。

 
しかし、Webster や、Collins の仏英辞典は、いくつか存在するようなので、まずは、ひと安心です。

 
 それにしても、キンドル版は、辞書が、1コイン程度と、安いのが、うれしいです。




(5)フランス語を読むうえで、キンドルが便利な点と不便な点は何か?




最後に、フランス語を読むうえで、キンドルが便利だと思われる点と、不便だと思われる点をいくつか列挙してみたいと思います。




便利だと思われる点




① まだ数は少ないとはいえ、現時点で、児童書だけで 1200冊、全体でも、2万冊のフランス語の本が、大型書店の洋書売り場に行かなくても、簡単にダウンロードできるのは、やはり貴重である。


② キンドルには、サンプル機能があるので、最初の数ページが立ち読み感覚で、無料で読める。

 これは、とくに、おもしろいかどうかよりも、そもそも読めるかどうかが気になるフランス語初心者には、ありがたい機能である。


③ キンドル版の仏和辞典がないのは残念だが、仏英辞典があるので、単語に触れるだけで意味がポップアップされるキンドルの機能は、本当に便利である。

  しかも、キンドル版の辞書は、紙の辞書にくらべて、1コイン程度と、格段に安い。


④ フランス語だけでなく、英語の洋書、あるいは、和書も、キンドル一冊で持ち運べるのは、通勤時に読むことが多い人には、何冊も持ち運ばずに済み、便利である。




不便だと思われる点




① やはり、フランス語のコンテンツ数がまだ豊富とはいえないのが、残念。


② 仏和辞典がないのも、残念。


③ 日本語で書かれた、フランス語の参考書が読めればいいのだけれど、現段階では、まだない。


④ しかし、私が考えるキンドルの最大の問題点は、英語でも、フランス語でもなく、他ならぬ日本語のコンテンツ数が、圧倒的に少ない、という点です。


 いずれ、増えていくものと期待していますが、今は、町の小さな書店にも負けるくらいの品ぞろえの貧弱さで、あの本も、この本も、キンドルで読めたら幸せだな、と楽しみにしていた本は、ひとつもありませんでした。

 
 アマゾンで扱われている和書が、すべてキンドルで読めるわけではないので、その点は、注意が必要です。




結論



英語の洋書を読むことをメインとし、フランス語や、和書は、補助的に読む、という人には、現段階のキンドルでも、たいへん便利です。 


しかし、フランス語の本を読むことをメインにしたり、専門的な和書やマイナーな和書を読むことをメインにした場合、現段階のキンドルでは、ちょっと厳しい、というのが、私の印象です。






キンドルで読める和書
キンドルで読める洋書(英語)
キンドルで読める洋書(フランス語)
キンドルで読めるフランス語の児童書



2012年12月12日水曜日

紀伊國屋の洋書売り場で



新宿南口にある、紀伊國屋書店6階の洋書売り場で、びっくりするほど読みやすいフランス語のペーパーバックを見つけました

 
平積みされた、その美しい装丁のフランス語のペーパーバックは、


  Le Voyage D'Hector Ou Le Secret Du Bonheur という本です。


まだフランス語の力が不足している私は、冒頭の第1パラグラフがすんなり読めるかどうかを、フランス語の本えらびの、いちばんの決め手にしています。


ですから、この本を手にしたときは、あった! と心の中で小さく叫びました。


なぜなら、冒頭の第1パラグラフどころか、1ページがすんなり読めてしまったからです。


   Il était une fois un jeune psychiatre qui s'appelait Hector et qui n'étais pas très content de lui. 



第1パラグラフは、上のように、わずか1文でしたが、あまりに平易なフランス語なので、胸がどきどきしてきました。


しかも、どことなく、とぼけた感じのするフランス語の文体が、親しみを増してくれています


つづく第2パラグラフは、下のような、人物描写でしたが、tortillait など見慣れぬ単語もありましたが、フランス語の平易さは、少しも損なわれませんでした。 


 Hector n'était pas content de lui , et pourtant il ressemblait à un vrai psychiatre :

 il avait de petites lunettes cerclées qui lui donnaient l'air intellectuel , 

 il savait écouter les gens d'un air pensif en faisant " mmh... " ,

 il avait même une petite moustache qu'il tortillait quand il réfléchissait très fort.


このようにして、1ページがすんなり読めてしまった時点で、私は、興奮のあまり、手にしたペーパーバックをパタンと閉じ、購入することを心に決めました。


これだけ平易な単語と構文がこのままずっと続いてくれるなら、まだフランス語の力が未熟な私でも最後まで読み通せる、と確信できたからです。

 
「外国人学習者向けのフランス語読本」というわけではなく、「フランス人向けのペーパーバック」で、これほど平易なフランス語で書かれているものは、そうそうありません。


私の本箱には、途中で、挫折したフランス語のペーパーバックがたくさん眠っていますが、今度こそ、最後まで読める、と自信を抱かせてくれる、屈指の読みやすさです。

 
家に帰って、さっそく調べてみると、


この Le Voyage D'Hector Ou Le Secret Du Bonheur の著者である、フランソワ・ルロール(François Lelord)という作家は、主人公と同じように、フランスの精神科医のようです。


幸福はどこにある‐精神科医へクトールの旅 という邦訳もあり、どうやら、フランスではベストセラーになったこともある、有名な本だったようです。